Delta Systemとは

 7/14KEYSのBMS楽曲データを規定の評価観点により分析を行い、譜面の傾向・難易度を数値化しレーティング(格付け)するシステムで、 BMSライブラリに搭載された機能の一部です。 評価対象となる全てのBMS楽曲データに対して統一された評価基準を適用し、その評価結果を楽曲の制作者・プレイヤーを問わず、 できる限り共通認識で共有可能にすることを目的としています。

利用するメリット

 当システムが出力するBMS楽曲データの評価結果を利用することで、BMSに関わるあらゆるユーザーに様々な恩恵をもたらすことが期待できます。 BMSで遊ぶ一般のプレイヤーは、評価結果を参照することで自分のプレイヤーレベルに適した楽曲を探しやすくなります。 また、自分が求める傾向の譜面を効率よく見つけやすくなることで、今までよりもBMSに対する満足度が向上するかもしれません。

 譜面制作者は、作成した譜面がどの程度の難易度、どのような傾向の譜面になるかを一目で確認することができるようになります。 これにより、概ね狙い通りの難易度・傾向の譜面を作成しやすくなると同時に、当システムの評価結果を一般のプレイヤーに提示・共有することで作成した譜面の特徴を伝えることが容易になります。

 BMSイベント主催者は、当システムが出力した評価結果を利用したBMSイベント・大会を開催することが可能になります。 例えば、特定の譜面傾向を有する楽曲のみのイベントを開催したり、大会において選曲テーマ(譜面傾向・難易度等)を制限するなどが挙げられます。 評価結果の利用のしかた次第でBMS界を盛り上げる可能性を秘めているかもしれません。

※Delta Systemは2023年8月現在、開発中のシステムです。出力するレーティング値は今後のアップデートにより変動する可能性があります。 また、当ページはシステムの開発進捗に伴い加筆・修正することを予定しています。

クリア難易度 - DELTA

 DELTAは、楽曲をクリアする難しさを表します。
※この機能は現在開発中です。

譜面傾向 - レーティングチャート

レーティングチャート

 譜面傾向は、画像で示すようなレーダーチャート「レーティングチャート」で表されます。 6つのテーマに基づいて譜面を分析し、それぞれ出力されたレーティング値がグラフ化されます。

 レーティングチャートの詳細な仕様、およびレーティング値の基準については別途 こちらの別紙 で解説していますので必要に応じて参照してください。

 尚、レーティングチャートはあくまで当システムが出力するレーティング値を分かりやすくプレゼンテーションするための仕組みを 定義したものであり、当システムが搭載されているBMSライブラリではレーティングチャートの描画・出力まではサポートしていません。 レーティングチャートの画像、または視覚効果を得るには別途 BMS Analysis などレーティングチャートの出力に対応したアプリケーションが必要になります。

譜面傾向6テーマの具体的な説明は下記を参照してください。

COMPLEX
譜面の配置の複雑さを表します。

この値が高いほど楽曲の正しい演奏を行うための鍵盤・スクラッチ操作の判断が遅れる傾向にあり、その結果入力操作が間に合わなくなりミスが多くなります。 正しい演奏を行うには譜面の配置に合う正しい入力操作を瞬時に判断し、操作内容に適した正確な手指の動作が求められます。 この判断・操作を行う能力は通称「横認識力」と呼ばれることがあり、水平方向に対する譜面の認知能力が求められます。

色違いのノートが並んでいたり、ロングノートや地雷オブジェなど種類の異なるノートが水平方向に多く並んでいる時に高い数値を示す傾向にあります。 また、配置の異なるパターンが短時間に多く登場する場合にも高い数値になります。

POWER
演奏に必要な入力操作の速度と手指にかかる負荷の高さを表します。

BPMの速い楽曲やノーツの多い楽曲は、その度合いに比例して正しい演奏を行うために必要な入力操作の速度や量が増え、手指にかかる負荷も増えていきます。 この値が高くなるほど手指の物理的な運動量が増える傾向にあり、演奏を維持することが困難となっていきます。 そのような楽曲の演奏に対応するには、それに見合う速さの入力操作を行わなければなりません。この能力は通称「地力」と呼ばれます。

このテーマでは配置内容に関わらず手指の動きが速くなり、動きに抵抗がかかるほど高い数値を示します。 具体例を挙げると、同じスイッチを連続操作する「縦連打」や片手でのトリル操作が多い楽曲、指に負担のかかる演奏しづらい配置などです。

POWERの数値はテンポの速い楽曲で多くのノートを配置することで簡単に上昇させることができますが、 そのような楽曲を正しく演奏するには相当量の鍛錬を行い、人体そのものの運動能力を向上させることが求められるようになります。 そのため鍛錬の過程で手指に過剰な負担がかかりやすくなり、それに伴う負傷が増加します。 単純に「難しさ」を意図しているのであればノートの配置を増やし過ぎるよりも、他のテーマを織り交ぜ、楽曲の内容に合った配置を検討してみてください。

RHYTHM
譜面のリズムの難しさを表します。

この値が高い楽曲では、演奏時間の経過により頻繁にリズム(入力操作の速さ)が変化する傾向にあります。 リズム変化の多い楽曲を正しく演奏するには、その変化に応じて入力操作の速さを調節する必要があり、手指の物理的な運動の強弱を緻密にコントロールしなければなりません。 そのためには垂直方向に対する譜面の高い認知能力が不可欠であり、これらの判断・操作を行う能力は通称「縦認識力」と呼ばれることがあります。

具体的には、リズムの異なる混合フレーズ、生演奏のような「ズレ配置」、瞬間的なノート密度の変化が生じる通称「ジャリ配置」など 一定間隔ではない入力操作が必要な配置が多い楽曲で高い数値を示します。 それに対し単純な同一間隔のリズムが長く続くような配置も譜面の「縦認識力」は一定量必要となりますが、 このテーマではそのような配置に対する評価はあまり高くなりません。

RHYTHMの数値が高いと「リズムが難しい楽曲」である可能性がありますが、あまりにも数値が高くなると音楽的に「何を演奏しているのか」が分かりにくくなり、 「音楽」の本質から大きくかけ離れてしまう危険性を伴います。それを回避するにはプレイヤーに演奏させる音を慎重に選択し、 どの音が演奏の対象であるかを分かりやすくするなどの工夫が必要になります。

SCRATCH
スクラッチ操作の難しさを表します。

スクラッチ操作は一般のキー操作と異なり2方向に対する操作指示が必要になる特殊な要素です。 操作の難しさは、連続操作回数、操作の速さ、操作間隔の変化頻度、およびスクラッチと同時に行うキー操作の内容が評価対象になり、 数値が高いほど緻密かつ高速なスクラッチ操作が求められる傾向にあります。

スクラッチ操作はキー操作とはかなり異なるプレイヤースキルが求められる要素であり、現実的には一般的なキー操作主体の楽曲ほど多くありません。 また、プレイヤーの好みが分かれやすい要素でもあるので、譜面の作成者はスクラッチ操作の面白さができるだけ伝わるような配置を検討する必要があると考えられます。

このテーマは「COMPLEX」「HOLDING」との相性があまり良くありません。これらのテーマとSCRATCHの数値が同時に高い水準になると、 人体の構造上正しい演奏が極めて困難になる配置が登場しやすくなり、その結果として特定の運指が強制されたり、譜面によっては特定のプレーオプションのみが推奨されるなど、 プレイヤーの選択の自由度を著しく損なう現象が生じる確率が高くなります。

HOLDING
ロングノートを演奏することの難しさを表します。

このテーマでは、主にロングノートを最初から最後まで離さずに正しく演奏し切ることの難しさを評価します。 ロングノートの演奏を妨げる主な障害は、ロングノート中に入り込む通常ノートや別のロングノートが挙げられます。 数値は障害が多いほど高くなる傾向にあり、楽曲を占めるロングノートの割合が増えるほど加速度的に数値が上昇します。 具体的には、複数のロングノートで演奏途中の複雑な押し・離しが発生したり通常ノートが複雑に絡む通称「脳トレ」配置、 レーン全体がロングノートで埋め尽くされ細かい押し・離しが連続する通称「カーテン」配置は特に数値が上昇しやすくなります。

ロングノート演奏中は指を動かさず固定する必要があり、その特性から少なからず演奏しづらいと感じることがあります。 そのため過剰にロングノートを多用すると、「単に演奏しづらくストレスの溜まる譜面」という評価につながり兼ねません。 ロングノート主体の譜面を作成する際はその点に留意する必要があると考えられます。

ロングノートは競技性を伴う1つの要素として重要な位置付けとなりますが、 「音が鳴っている間押し続け、鳴り止んだら離す」という音楽的な演出を目的に使用することで譜面の演奏感を向上させることが期待できます。 このテーマの特性上、ロングノートを敬遠するプレイヤーも少なからず存在しますが、演出的な用途で使用する分には敬遠する要因にはなりにくいと考えられます。

GIMMICK
BPM/スクロール速度の変化、譜面停止、地雷に対応することの難しさを表します。

このテーマで評価するのは、正しい演奏を妨げる様々な要素(ギミック)がどの程度演奏の妨げになるかです。 譜面の速度変化は、速度の変化に対応・適応することの難しさを評価します。譜面停止は、停止から停止解除後の演奏がどの程度難しいかを評価し、 地雷は誤操作による被弾のしやすさと被弾時のダメージ量から被弾回避の難易度を評価します。

上に示した通り、ギミックは「障害への対応の難しさ」が評価の対象となります。 ギミックの内容が正しい演奏に影響しないと判定されるとこのテーマの数値は上昇しません。 例えば、視覚的な演出を目的とした地雷の配置は地雷周囲にノートが存在しないことがしばしば見受けられますが、そのような配置は評価の対象外となります。

GIMMICKが評価対象にする要素には、正しい演奏を行うための認知・判断をかく乱させる効果があります。 競技性を伴う要素である反面その特性上、楽曲ごとに特有の対策を求められる側面が強く、 特定の楽曲で獲得したギミック対策のノウハウは別の楽曲で活用できる範囲が極めて限定されてしまいます。 ギミックを忌避するプレイヤーは他のテーマよりも多く、僅かに譜面の速度が変化するだけで選曲を敬遠することがあるほどです。 ギミック主体の譜面を作成する際は、そういった背景があることを踏まえたうえで譜面を構成することが必要であると考えられます。